LLライブラリ自習室 利用方法

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Movie Quiz!#7 ANSWER

LLライブラリ、今年からの新企画!
その名も…『Movie Quiz!』(Quiz…Quiz…Quiz…)

LLライブラリで観られるDVDの中からその映画にまつわるクイズを出題します。
第7回の答えは…

『(500)日のサマー』
【あらすじ】運命の恋を信じる青年と、信じない彼女の500日間―。建築家を夢見ながらカード会社で働くトムは、あるきっかけで、社長秘書として新しく入社してきたサマーに一目惚れしてしまう。夢見がちな男の子と、超現実的な女の子。対極的な二人の切なくもリアルな恋の軌跡を、時系列をシャッフルした独特のテンポで軽快に描き出す。

Q. トムとサマーが好きなアーティストの名前は?

     A. オアシス
     B. パティ・スミス
     C. ザ・スミス
     D. ニルヴァーナ

正解は Cの「ザ・スミス」 でした!

映画『(500)日のサマー』のストーリーの中で、とっても重要な鍵を握っているのがこの「ザ・スミス」というバンドです。80年代にイギリスで結成された伝説的なバンドなのですが、実は映画の舞台であるロサンゼルスをはじめ、アメリカの都市部でも「神聖視」されるほど熱狂的に愛されてきました。

「イギリスのバンドが、なぜアメリカで?」
「2000年代後半の映画なのに、どうして80年代のバンドがそんなに重要なの?」

と思った方もいるかもしれません。実はこの背景をちょっと紐解くだけで、1980年代から2000年代、そして現在の日本のレトロブームにまで繋がる、面白いポップカルチャーの歴史が見えてくるんです。

■アメリカの社会と「孤独な若者たち」の救い
ザ・スミスが活動していた1980年代のアメリカは、マイケル・ジャクソンやマドンナ、あるいは派手なメタルロックなど、肉体的で外向的な音楽がポップシーンを席巻していました。社会全体もレーガン大統領の「強いアメリカ」のもと、「明るく、強く、社交的であれ!」という消費主義全盛の時代です。
そんな「スクールカーストのトップが勝つ世界」の空気に馴染めず、「自分はのけ者かも……」と孤独や疎外感を感じていたアメリカのティーンエージャーたちは、テレビや大手のラジオではなく、大学の学生たちが運営するコミュニティ放送局「カレッジ・ラジオ」に自分たちの居場所を求めました。
そこで繰り返し流されていたのが、ザ・スミスでした。
フロントマンのモリッシーが歌う「内気で、不器用で、孤独な世界」は、国境を越えてアメリカの若者たちに「これは自分たちのことを歌っている!」と強烈に響いたのです。
ザ・スミスはアメリカ社会の片隅で、内省的な若者たちの心を救う「インディーズ精神の教祖」となりました。

■ロサンゼルスという土地と「マイノリティ」の共鳴
さらに、映画の舞台であるロサンゼルスには、メキシコ系アメリカ人(チカーノ)の人たちが多く暮らしています。実は、LAのチカーノ・カルチャーにおいて、ザ・スミスは今でも神格化されているんです。
イギリスの労働者の街から生まれたザ・スミスが歌う「故郷への切なさ」「マジョリティから拒絶される孤独」「叶わない愛」といった切ないテーマが、アメリカ社会でマイノリティとして生きる若者たちの厳しい現実や、彼らの情熱的な気質と完璧にシンクロしたからだと言われています。

■2000年代の「ヒップスター」とアイデンティティ
こうしたロサンゼルスならではの土壌から、2000年代に入って若者たちの間で大流行したのが「ヒップスター」と呼ばれるインディーズ・サブカルチャーです。
大量消費される商業主義にうんざりしていた感度の高い若者たちは、あえて「レコード」や「古着」など、独自の非主流なライフスタイルを愛するようになりました。この文化圏において、ザ・スミスはまさに「聖典(バイブル)」のような存在でした。
ザ・スミスを聴いているということは、「私は大量消費される量産型のポップスではなく、その裏にあるインディーズ音楽の深い世界を理解できる人間なんだ」という、自分らしさを証明するための大切な記号だったのです。
だからこそ、劇中のエレベーターでサマーがトムに「私、ザ・スミス大好き」と声をかける初対面のシーンは、二人の運命を決定づける極めて重要な場面になります。
トムがヘッドホンで聴いていた名曲『There Is a Light That Never Goes Out』をきっかけに交わされるこの数秒のやり取りは、単に「音楽の趣味が合う」というレベルを超えています。
ヘッドホンという自分の殻の中に閉じ込めていた孤独で内省的な世界を、初対面の魅力的な女性が瞬時に共有してくれた——その驚きが、トムに「彼女こそが運命の相手だ!」と脳天を打ち抜かれるような衝撃を与えてしまったのです。
二人の恋が始まる歴史的な瞬間として、ぜひこのエレベーターのシーンでの「サマーのセリフ」や「トムの表情」に注目して観てみてください!

■現代の「レトロブーム」にも繋がるエモさ
この若者たちのこだわりは、形を変えて現在の「Y2K」や「アナログ・レトロブーム」へと地続きで繋がっています。
映画を彩った2000年代後半(デジタルエイジ初期)のファッションやカルチャーは、今まさに現在の若者の間で「エモいもの」として再評価されています。あえてデジタルカメラや有線イヤホンを選んだり、ストリーミング全盛の現代にレコードやカセットテープの売上が急増したりしているのはその象徴です。
こうした現象は、現在の日本でもまったく同じように起こっていますよね。
『(500)日のサマー』における二人の音楽の趣味やデートコースは、公開から時を経た今だからこそ、私たちにとっても最高に新鮮で、魅力的なものとして映るはずです。

 



☆他にも、映画で描かれる恋愛観「付き合っているようで付き合っていない、名前のない関係(Situationship)」についてや、トムの視点から見る「ロサンゼルスの歴史的な建築」の紹介もしたかったのですが、収まりきりませんでした。。。気になる方はぜひ調べてみてくださいね! 🙂

■おすすめ図書のご紹介
ザ・スミスの「きらめくギターサウンド」と「内省的な歌詞」は、90年代のブリットポップ(オアシスやブラーなど)や、2000年代以降のオルタナティブ・ロックの大きな基盤となりました。
そんな音楽史の繋がりを感じられるおすすめの1冊が、LLライブラリにある『ロックスターの英語 “生ける伝説”たちの声を聴け!』です!
本書には、スミスを敬愛してやまないオアシスのノエル・ギャラガーをはじめ、名だたるロックスターたちの生のインタビュー音声が収録されています。憧れのスターの言葉を通じて、楽しくリアルな英語を学んでみませんか?ぜひLLライブラリで手に取ってみてください!