こんにちは、SMK英語情報局です♪
寒いですね!もう冬ですね♪
こたつの出番もやっときました。あー、嬉しいなあ。
わたしはもう完全に冬だと思っているのですが、
友人は「まだ秋であってほしいから秋だ」と言っていました。
まあ・・・、秋の存在を完全に消すのもどうかと思うのでまだ秋ということにしておきましょう。
秋といえば芸術の秋ということで、
先月、Hamlet の舞台を観にいってきました (>∀<)
「生きるべきか死ぬべきか、」のセリフで超有名なシェイクスピアの作品です。
『ハムレット』は読んだことも観たこともなく、だいたいのあらすじを知っている程度だったので、
膨大なことばの量に圧倒されて、セリフを聞き取るのに必死でした。
ただ、そんな状態でもやっぱり面白く、セリフやことばの意味をひとつずつ見ていきたくなって、
原作や関連した本を図書館で探していたのですが、
O局員がめちゃくちゃ面白い本を貸してくれたのです!
それが本日のテーマ『深読みシェイクスピア』です!!!
わたしは大学時代、言語学を専攻していたので、
恥ずかしながらシェイクスピア作品にふれたのは大学院での授業が初めてでした。
1年を通して1作品を読んでいったのですが、読めば読むほど奥が深くて、
面白い反面、わたしなんかでは全く歯が立たないなと痛感したのを覚えています。
大学院終了後、シェイクスピアを読む機会からは遠ざかっていたのですが、
舞台を観るとやっぱり面白い!
授業で得たシェイクスピアについての知識(めっちゃ少ない)を総動員して楽しみました。
集中しすぎて帰りは頭痛がしていました(笑)
ただ、やはり原作は英語なので、日本語になることで見えなくなるものはあるのだろうなとも思うんですよ。
英語のリズムとか、韻とか、ことばの意味の重なりとか・・・。
英語だとどんなセリフになっていたのかな~なんて思いながら舞台のパンフレットを読んでいると、
翻訳を担当された松岡和子先生が
ホレイショーのシェイクスピアに対する “you” と “thou” の使い分けについて書かれていたんですが、
それがもう、ぐっときて・・・・・・・・・。
“you” と “thou” というのは、どちらも「あなた」を指す人称代名詞なのですが、
“thou” は “you” よりくだけた呼び方で、親しい間柄や目下の相手に使うことばなんです。
ホレイショーという登場人物はハムレットの部下なので、
ハムレットに対してはもっぱら “you” を使っているんですね。礼儀ですよね。
それが、最後の最後、死んでしまったハムレットに対して “thou” を使うんだそうです。
ホレイショーが心の中でハムレットのことをどれくらい想っていたのかが、
“thou” という親しみを込めた呼び方をしていることで、うかがい知れるのです。
“you” と “thou” のどちらを使っているか、たったそれだけの違いで、
ホレイショーの心を読み取れる・・・
どうですか、ぐっときませんか!?
もしかしたら、他にも似たようなところがあるのかも・・・
原作を読んで、ことばのちょっとした違いから、
登場人物の感情や、シェイクスピアの意図に気づきたい・・・
もっともっと知りたい・・・
そう思わざるを得ません!
そんな風に分析したい欲が沸々でてきたところに読んだのが、
わたしが観た『ハムレット』を翻訳された松岡和子先生の
『深読みシェイクスピア』(今日のテーマがやっとでてきました^^;)です。
この本は
★『ハムレット』
★『ヘンリー6世』
★『リア王』
★『ロミオとジュリエット』
★『オセロー』
★『恋の骨折り損』
★『夏の夜の夢』
★『冬物語』
★『マクベス』
の9作品を主に取り上げ、各作品中のことばに注目し、
文字通り深読みしていく、という内容です。
たとえば『ハムレット』が取り上げられている章では、
ヒロインのオフィーリアが自身に対して “noble” ということばを使うことについての違和感について取り上げていて、
なぜ “noble” ということばが選ばれて使われているのか、なぜ違和感があるのか、
その理由とどうやってその理由に至ったかが書かれています。
先ほど紹介した “you” “thou” に関しての話も、
『ロミオとジュリエット』『オセロー』が取り上げられている章で登場します。
翻訳本や原作をさらっと読んだだけではきっとわからない、注目しないだろう単語を取り上げられていて、
まさに目から鱗での連続で、本当に面白い本です。
この本をを読んでいると、
作品を翻訳するにあたって、そしてその翻訳を舞台で使うにあたって、
作品の台詞ひとつずつを細かく深く理解している・しようとしていることが物凄く伝わってきます。
作品が上演された当時のイギリスの状況や、英語の使われ方、
前後の文脈や音の流れ、本当にたくさんのことに目を向けて、
セリフの意味・ニュアンスを徹底的に考えて翻訳されていることに、脱帽です!
元が英語で書かれているということ以上に、
背景がわからないというのは、作品やセリフの理解に大きく影響するんだなあとしみじみ感じます。
でもわからないこそ、考えることや発見に面白さをより感じられるのだとは思いますが・・・
また、それだけではなく他にも面白いのが、
ことばの解釈の発見が、先生だけではなくて舞台で演じる役者さんがきっかけとなっていることが多いところです。
松岡先生は舞台の翻訳をされるとき、よく稽古場に足を運ばれ、
役者さんの演技や、役者さんとのやりとりから、台本のセリフに手直しを加えてらっしゃるそうで、
そこで沢山の新しい解釈の発見をされているのです!
しかもその解釈の理由もしっかりしていてとても頷ける・・・。
演じるために、役になりきっているからなのか、台本を読みこんでいるからなのか、
役者さんのセリフに対する洞察力にはびっくりしました。
ぼうっとストーリーを追うだけではなくて、もっと集中して読まなくてはだめですね。
シェイクスピアというと、知らない人はいないくらい有名ですが、
本で読むかと言われると、なかなか手を出しづらい部類だと思うんです。
わたしも昔、普通の小説だと思って手に取ったら、
台本形式で書かれていて、そっと棚に戻したことがあります(笑)
なので作品名は知っていても、内容を詳しく知らないということが多いと思うんですが、
それでもこの『謎解きシェイクスピア』は楽しめると思います。
各作品のあらすじも書いてありますし、
対談形式で話が進むので、堅苦しくなくて読みやすいんです。
英語史の知識やシェイクスピアの知識があったほうが更に面白いのはもちろんだと思うのですが、
ちょっと興味あるな、くらいで読んでしまってもきっと楽しいですよ。
ぜひみなさんも読んでみてください♪
(ただ、図書館には今のところ無いようです。。。)
LLライブラリでは、
シェイクスピア作品のDVDや、
映画『恋におちたシェイクスピア』も鑑賞できます!
シェイクスピアに興味がある方、好きでたまらない方は、
ぜひLLライブラリまでお越しください♪♪
以上、第85回SMK英語情報局でした☆
編集:SMK