こんにちは、SMK英語情報局です。
今日は久しぶりにしっかり雨が降っていて、
足元は濡れるし、リュックは濡れるしで、
通勤路が憂鬱でした・・・。
「憂鬱」といえば、
“In sooth, I know not why I am so sad:”
(本当に、どうしてこんなに憂鬱なのか自分にもわからない)
という台詞で始まる戯曲をご存知ですか?
William Shakespeare 作、The Merchant of Venice です。
主人公であるヴェニスの商人 Antonio のこの台詞から、
『ヴェニスの商人』のお話は始まります。
今回のテーマは「憂鬱な Antonio」です!
Antonio の台詞 “I know not why I am so sad” は、
一見、何か悲しいことがあったのかな?と思わせますが、
“sad” という単語の意味はただ「悲しい」ではなく、
「憂鬱」、「気だるい」というような意味で使われています。
そんな意味あったの、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
OED(Oxford English Dictionary)にもきちんと載っていました。
__“Sad: adj. Ⅰ.Of persons and immaterial things. 1. Having had one’s fill; satisfied; sated, weary or tired (of something).”
シェイクスピアが生きた時代は16世紀後半から17世紀にかけて、
そして『ヴェニスの商人』は1590年代に書かれたものだといわれています。
したがって、現代の小説などとは違い、
私たちがパッと思いつくような意味ではない意味で、
単語が使われていることがたくさんあります。
ことばは、ただひとつだけ意味を持つのではなく、
新しい意味がどんどん追加されて、たくさんの意味をもっているものです。
ある単語が生まれて、最初その単語にはひとつの意味しかなかったとしても、
世の中で使われていくうちに、
その時の社会状況や、会話の状況で、
正反対の意味をやがて持つようになったり、
別のことを指すようになったりします。
そうやって少しずつ少しずつ意味が増えたり変わったりして、
シェイクスピアが書いた英語の意味と、
私たちが今すぐに思い浮かべる意味との違いが生まれているんですね。
そうやって考えると、
日々同じ時というものはない中で、
日本語でも英語でも、相手に自分の伝えたいことが
曲がらず伝わることって奇跡のように感じます。
その時々で形を変えることばを使って、
伝えたいことを伝えたり、理解したりすることは難しいことですが、
たくさんのことを共有して理解していれば、
意味の通りはいくらか易しくなるはずです。
「憂鬱な Antonio」を「悲しい Antonio」と思わないためにも、
色々なことに興味を持って、
多くのことを知って、理解していきたいものですね。
LLライブラリには、映画やドラマのDVDや、
雑誌や、英語以外の言語の参考書など、
知識を広げるのにうってつけの材料がたくさんあります☆
今は春休み期間中でしまっていますが、
4/9から開いているので、みなさんぜひお越しください♪
以上、第33回 SMK英語情報局でした☆
(次回更新は4/9です)
編集:SMK