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☆SMK英語情報局☆ 第50回 “The Bluest Eye” の巻

こんにちは、SMK英語情報局です!

先週より後期授業が始まっています。

夏休みの生活リズムから、授業のリズムに、

だんだん戻ってきたのではないでしょうか^^

そしてこの SMK英語情報局は・・・

夏休み明け一発目が、なんと記念すべき50回目です!!

せっかくの50回記念なので、

今回はちょっと真面目に書こうかな・・・(笑)

ということで本日のテーマは

The Bluest Eye」です☆

 

The Bluest Eye は、Toni Morrison 作の小説です。

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物語の舞台は大恐慌の中のアメリカ

Pecola という黒人の少女が主人公です。

家は貧乏で、両親からの扱いも悪く、

学校でも黒人だといじめられ、

最後には狂ってしまう彼女の悲劇を、

彼女自身や、同じ黒人の少女などのPecola の周りにいた人たちの

語りや過去の物語で描いています。

 

Pecola という少女におきた出来事は、

語るのも嫌になるほどつらいものばかりですが、

なにより衝撃的だったのは、

彼女を黒人だ、醜い、といじめる周りもまた、

黒人であるということでした。

自分よりもさらに弱いものを見つけて、

自分が虐げられたように、虐げる。

黒人差別の中に、黒人間での二重の差別があったのです。

貧しいことや、醜いことで虐げられる Pecola は、

すべてがその容姿に原因があると、

青い目がほしいと祈るようになります。

 

醜い、黒人だ、といじめられるなら、

青い目になれば、白人になれば、幸せになれると考えることは、

至極当然のことだと思います。

もっと自分が良いものであれば、

周りの態度も変わるはず、と思ってしまいますよね。

ですが、その

白人は美しく、正しく、良いものである

という考えこそが、差別を生み、そして二重差別を生んだのです。

もちろん人には好みがあって、人それぞれのものですが、

こうあることが美しく幸せである、という見本のようなものがあって、

皆がそれに憧れるから、

見本のようになれない自分や他人を悪いもののように見てしまう・・・。

 

物語の中で、Pecola と一緒に住んでいた、

同じく黒人の Claudia という少女が、

クリスマスにもらった青い瞳の人形を壊すシーンがあります。

大人が「綺麗で、価値のあるもの」として贈った、

女の子なら皆欲しがるだろうその青い目の人形は、

Claudia にとっては魅力的ではありませんでした。

なので彼女は、人形を分解して、

皆が皆、価値があると言う、その理由を見つけ出そうとしたのです。

考えてみれば、

何が美しく、正しく、良いものなのか、

どうしてそれが良いものとされているのか、

なぜ自分もそれを良いものと感じるのか、

自分だけの感覚だけでそれを決めていないように思います。

周囲の人や家族や、時代や場所や、文化や、たくさんのものに影響されて、

「これが良い」と決めるようになる。

知らぬ間に自分の価値観が決められている所があるということに、

そして、そうして形作られた自分の価値観が

当たり前であり絶対的であると思っているということに、

この本を読んでハッとさせられたのを覚えています。

 

これだけではなく、たくさんハッとさせられるのですが、

説明力がないので割愛させていただきます。

衝撃的なシーンも多く、暗いストーリーではありますが、

複数の登場人物の視点から Pecola という少女を眺めることで、

ただ単に Pecola を哀れ悲しむだけでなく、

たくさんの観点から差別や愛情や人の心について考えることができる作品です。

読んでいる間辛くなることも多いですが、

人生の糧になるような、おすすめの一冊です。

わたしはこの作品を大学院の授業で読んだのですが、

自分では絶対に選ばない1冊だったと思います。

自分の好みでは選ばないけれど、

視野を広げてくれる名作はたくさんあって、

そんな作品に出会えるのが文学部の良いところですね。

読書の秋ですし、みなさんもぜひ読んでみてください。

ちなみに、『青い眼がほしい』のタイトルで翻訳本もでています☆

 

LLライブラリには、

ペーパーバックの小説がたくさん置いてあるほか、

名作の要約本もあるので、

ぜひ皆さんお立ち寄りください♪

 

以上、第50回 SMK英語情報局でした☆

 

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編集:SMK